全体を見渡す場所と手を動かす場所を分け、外でのメモは Notion と Obsidian に書き分けた
案件を1か所からまとめて見渡して指示を出す場所と、実際にコードや原稿を書く場所を、別々のフォルダに分けました。見渡すほうは Exocortex と名付けた自作の置き場で、中身は Markdown ファイルの集まりです。書くほうは案件ごとに用意した ~/dev/{project}/ のフォルダで、そこで Claude Code を起動して作業します。外出中に浮かんだことは Notion に、机に向かっているときは Obsidian に書いていました。この形で半年ほど動かすと、直したい点がいくつも出てきました。
Blueprint は、AI と一緒に働くための作業環境をどう組んだかを、版ごとに残しているチャンネルです。目的別に今いちばん速い作り方をまとめた Recipes、作ったものを年表に並べた Time Capsule、単発の検証ログの Probes とは役割が違います。ここに書いているのはどの道具をどこに置いて何を担当させるかという割り振りで、道具そのものの使い方には踏み込みません。
Claude Code を数ヶ月使って、自分はだいたい同じところで詰まりました。思いついたことを書いた場所、やると決めた場所、実際に手を動かした場所、後で読み返したい記録。この4つがひとつのフォルダに同居していて、AI に渡す前提が毎回散らかる。それで置き場を4つに分けて、それぞれ担当を決めました。放り込む Inbox、行き先を決める Triage、手を動かす Working、残す Memory。この区分をこのページでは Frame(骨組み) と呼んでいます。
この先は Frame、My implementation、How to adapt の順に進みます。Frame では骨組みだけを説明します。My implementation は、その骨組みを自分が何で埋めたかの中身です。あなたの手元に置き換えるときの分かれ道は How to adapt にまとめました。前の版がある場合は Migration log も付きます。真似してほしいのは3つめだけで、ほかは読み飛ばしてもらって構いません。
作業環境に版を切るとはどういうことか
ソフトウェアに v1、v2 と番号が付くのと同じことを、自分の作業環境にもやっています。どのフォルダに何を置き、どの道具に何を担当させるか。その割り振りを1枚の設計図として書き出して、大きく組み替えたときに番号をひとつ上げます。このページに載っているのが、その3枚目です。
なぜわざわざ番号を切るのか。半年前の自分がなぜその形にしたかを、きれいに忘れるからです。フォルダを移したときも道具を乗り換えたときも、そのときは理由がありました。書き残さないでいると、数ヶ月後には「なんとなくこうなっている」状態だけが残ります。そうなると直すのが怖い。壊していいのか判断できないからです。理由まで含めて版にしておけば、次に組み替えるときに前提から検算できます。
もうひとつ、AI と一緒に働くようになってから、この設計図の価値が上がりました。Claude Code はフォルダの中身を読んで動きます。どこに何があるかが曖昧なままだと、毎回それを説明することになる。置き場が固まっていれば、説明は最初の1回で済みます。
分けないと何が起きるか
置き場を分ける効き目は、AI に何かを渡した瞬間にいちばんはっきりします。全部がひとつのフォルダに同居していると、まだ何も決めていない思いつきと、やると決めた作業指示と、去年の失敗メモが、同じ重さで読み込まれます。人間なら「これはただのメモだ」と勝手に割り引いて読む。AI は割り引きません。結果として、こちらが頼んでいないことまで真面目に拾った提案が返ってきます。
役割ごとに場所を分けておくと、渡す範囲を自分で選べます。今日は作業場だけ見せる。判断のときだけ、全体を見渡して行き先を決める場所(このページではここを管制塔と呼びます)も一緒に開く。この線引きができるだけで、返ってくるものの精度が変わります。
自分の頭の切り替えにも効きました。放り込む箱を開いているときは判断しない。判断は行き先を決める場所を開いたときにまとめてやる。場所と行動が結びついていると、途中で悩む回数が減ります。
v3 で実際にどう組んだか
見渡す場所と手を動かす場所を、別々のフォルダに切り離しました。見渡すほうは Exocortex と名付けた自分専用のフォルダで、中身はただの Markdown ファイルの集まりです。凝った仕組みは入れていません。AI に読ませることを考えると、素のテキストがいちばん速い。
手を動かすほうは案件ごとのフォルダで、そこで Claude Code を起動します。案件をまたいでファイルが混ざらないので、変更履歴の管理もフォルダ単位で完結します。外にいるときの思いつきは Notion に、机に向かっているときは Obsidian に書いていました。この書き分けが後で自分の首を絞めるのですが、そのときは便利なやり方だと思っていました。
半年動かして困ったこと
放り込む箱を2か所に構えたのは失敗でした。どちらが最新なのかを合わせる手間が、書く手間を上回ります。そして Obsidian のほうは、外出先ではほぼ開きませんでした。
管制塔と記録の置き場を iCloud に載せたのも重かった。同期が詰まると、あるはずのファイルが一瞬見えなくなります。ファイルが手元にあるかどうかを疑いながら作業するのは、思っていたより消耗しました。
いちばん引っかかったのは記録の置き場です。自分で書き溜める前提で作ったのに、実際に書いていたのはほとんど AI でした。ここをどう扱い直すかが、次の版の出発点になります。
どこから手を付けるか
全部を一度に組み替えなくていいです。最初にやるなら、放り込む箱を1か所に決めるところからがいいと思います。今いちばん手が伸びるアプリを1つ選んで、残りは思い切って閉じる。それだけで、二重に書く手間と、どちらが本物か迷う時間が消えます。
次は、行き先を決める場所を作業場所から切り離します。フォルダを1つ増やすだけで足ります。今どの案件が動いているかを、そこを開けば全部見えるようにしておく。記録の置き場に手を付けるのはそのあとで構いません。自分も、そこだけは最後まで手つかずのままでした。
置き場を4つに分けただけの骨組みです。自分の事情は次の My implementation に寄せて、ここでは役割の割り振りだけを書きました。まずはここだけ読んで、いま自分が使っている場所がどの役割に当たるかを当てはめてみてください。4つのうちどれかが欠けている、ひとつの場所が2役を兼ねている。そういうところが見つかったら、そこが直す場所だと思っています。
頭に浮かんだこと、人から頼まれたこと、届いた資料を、行き先を決めずに置いておく場所です。分類も整理もせず、判断は後の Triage layer でまとめてやります。
- 外出中でも、電波が届かなくても、手元のスマホから書き込めるようにします。
- 置きっぱなしにはせず、必ず後で Triage layer が中身を捌きます。
- 一時的に預ける場所として使い、残す記録はここに置きません。
Inbox に溜まったものを開いて、どこへ送るかを決める場所です。進行中の案件の一覧もここにあります。ここ自体では何も作らず、指示を出すだけの管制塔です。
- 動いている案件も、寝かせているアイデアも、雑多なメモも、ここを開けば全部見えます。
- Inbox から定期的に拾い上げて、いま実行するのか、記録として残すのか、捨てるのかを決めます。
- 仕分けの下読みは秘書役の AI にやらせて、自分は最後の判断だけします。
案件ごとのフォルダの中で、コードを書いたり原稿を書いたりする場所です。納品するものや公開するものは、すべてここから出ます。
- 案件ごとにフォルダを完全に分けて、ファイルを混ぜません。
- エディタ(コードを書くアプリ)の横のファイル一覧から、どの案件もそのまま開けます。
- 何をやるかは Triage layer で決め、ここでは決まったことを実行します。
終わった仕事のうち、また使えると判断したものだけを残しておく場所です。AI に過去の経緯を調べさせるのも、この置き場です。
- Working layer で出たもののうち、使い回せると判断したものだけを移します。
- 昔どう決めたかを思い出したいとき、AI はここを読みに行きます。
- 自分で開く回数は多くありません。ときどき見返す程度です。
置き場のあいだでファイルを動かすときの決まりです。
- Inbox に放り込んだものを Triage で振り分け、Working で手を動かし、残す価値があるものだけ Memory に移します。
- Triage 自体は何も生まず、行き先を決めるだけです。
- Memory への移動は自動ではありません。残すと決めたときだけ手で移します。
骨組みを自分がどう埋めたかを並べました。出てくるアプリ名は、たまたま自分の手に馴染んだものです。同じものを揃える意味はあまりないので、この役割なら自分は何で埋めるかを考えながら読んでもらえたらと思います。各行は、担当する置き場と使っている道具、そこで何をしているか、それを選んだ理由(Why)、いま困っていること(Current issues)の順に並んでいます。
外にいるときはスマホから Notion の Inbox データベースに書き、机に向かっているときは Obsidian(パソコンの中の Markdown ファイルをそのまま開いて書けるメモアプリ)の Inbox フォルダに書いていました。
移動中に浮かんだことを取りこぼしたくなかったので Notion を使いました。手元では文字をそのまま直したいので Obsidian も残しました。
- 同じ内容を2か所に書くことになり、どちらが最新かを合わせる手間がかかりました。
- 結局 Obsidian は外出先でほとんど開きませんでした。
管制塔の中身は ~/.secretary/ という1つのフォルダに置いた Markdown ファイルの集まりです。先頭の ~/ は自分のホームフォルダを指し、名前がドットで始まるフォルダは普段の一覧には出てきません。この置き場に Exocortex という名前を付けました。案件の一覧も判断の履歴もここに集めて、Inbox の仕分けは AI に下読みさせます。
溜まった Inbox を自分で1件ずつ開く前に、AI に読ませて仕分け案を出させたかったからです。中身がただの Markdown なら、AI が読むのも書くのも速い。
- 本体を iCloud の中に置き、そこへの近道(シンボリックリンク。別の場所にあるフォルダを、あたかもここにあるかのように見せる仕組み)で参照していたため、エディタのファイル一覧から素直に見通せませんでした。
- iCloud の同期が遅れると、あるはずのファイルが一瞬見えなくなりました。
案件ごとに ~/dev/ の下にフォルダを作り、そのフォルダの中で Claude Code を起動して作業します。この「起動した場所のフォルダ」が CWD(作業ディレクトリ)で、Claude Code はここを起点にファイルを読み書きします。
エディタでそのまま開けるうえに、変更履歴を残す Git もフォルダ単位で完結するからです。案件をまたいでファイルが混ざる心配がありません。
- 1つの案件しか見えないので、全体を把握するには毎回 Triage layer を開くことになります。エディタの中だけでは仕事が完結しません。
過去にどう判断したか、何がうまくいったかを、Obsidian の保管庫(vault。Obsidian が1つのフォルダをまるごとメモ置き場として扱う単位)に書き溜めていました。
書き溜めたものがただのテキストなので、後でアプリを乗り換えてもそのまま持ち出せるからです。
- 自分で書き足すことがほとんどなくなり、実際に書いているのは AI でした。
- iCloud の同期がときどき詰まりました。
- GitHub への控えを手作業で取っていたので、やり忘れが出ました。
骨組みをあなたの手元の事情に合わせて調整します。記録の置き場は、いま使い慣れているメモアプリで十分です。作業場所のパスも ~/dev/ である必要はありません。守ってほしいのは2つだけで、4つの役割を別々の場所に分けることと、どの場所が何を担当するかを先に決めておくこと。下のカードから、自分にいちばん近い状況を選んで読んでください。
Working layer をパソコンのフォルダではなく、Notion のデータベースや Asana、Trello の案件リストに置き換えます。手を動かす場所は、ファイルの置き場でなくても構いません。 Triage layer も別に作らなくて構いません。Notion のデータベースを1つ用意して、表示(view)を切り替えるだけで足ります。「未処理だけ」「今週やる」といった絞り込みを保存しておけば、それが管制塔の代わりになります。
Inbox に書くときは行き先を考えず、private というタグだけ付けて放り込みます。仕事と私用に分けるのは Triage でまとめてやります。 Memory は保管庫を2つに分けるか、1つのままタグで分けます。後から探す量が多いなら、分けたほうが早い。
~/dev/ の下に案件ごとのフォルダを作り、そのフォルダの中で Claude Code を起動します。各フォルダに CLAUDE.md(そのフォルダで Claude Code を起動するたびに読ませる指示書)を1枚置いておくと、案件ごとの前提を毎回説明しなくて済みます。 Triage は ~/.secretary/ のような自分専用のフォルダと Notion を併用するのが現実的です。机に向かっているときはフォルダを開き、外にいるときは Notion を見ます。
初日に済ませておく最小限だけ抜き出しました。まずはここまでで足ります。
- Notion のアカウントを作り、Inbox 用のデータベースを1つ用意します。
- Obsidian を入れて、保管庫の中に Inbox フォルダを1つ作ります。
- ~/dev/ の下に、最初の案件フォルダを作ります。
- ~/.secretary/ に管制塔用の Markdown を数枚置きます。Notion のデータベース1つで代用しても構いません。
- Claude Code を入れて、案件フォルダごとに CLAUDE.md を置きます。
前の版から何を変えて、なぜ変えたのかを残しています。変えたこと(Changes)、その理由(Reasons)、動かしてみて分かったこと(Learnings)の順に並べました。自分の環境をいじる前に目を通しておくと、どこで転んで何をやめたかが分かるので、同じ回り道をせずに済みます。
- 作業を1つの大きなフォルダで済ませるのをやめ、案件ごとにフォルダを分けました。
- 行き先を決める場所を作業場所から切り離し、Exocortex として独立させました。
- Inbox を Notion と Obsidian の2か所に構えました。
- v2 までは作業フォルダが1つしかなく、GitHub に控えを取るのに手間がかかりました。
- v1 では過去の記録や決めた経緯を残すことを意識しすぎて、AI に毎回渡す前提の量が膨れ上がりました。
- 全体を見渡す場所と、手を動かす場所は、はっきり分けたほうがいい。
- ただし Inbox を2か所に置くと、揃える手間が書く手間を上回ります。
- iCloud を経由させると、エディタからの扱いが素直でなくなります。